Toho Ecology Circle (TEC)
三番瀬干潟の生物と環境をみてみよう!
こんにちは!Toho Ecology Circle(通称TEC)です!
普段は主に市内の川や海で生物や環境にかかわる活動をしています。
突然ですが、皆さんは干潟に行ったことはありますか?
潮干狩りに行ったことのある人もいるのではないでしょうか?
東邦大学習志野キャンパスのある船橋市にも、三番瀬干潟という干潟があります。
ここでは三番瀬干潟を例に、干潟の生物や環境についてみてみましょう!
1.三番瀬干潟とは?
三番瀬干潟は、東京湾の最奥部にある、JR船橋駅近くのバス停からバスで30分ほどで行ける干潟です。シーズンになると毎年大勢の人が潮干狩りに訪れます。
三番瀬干潟の位置(グーグルマップより)
2.三番瀬にはこんな生物がいます!
①ミヤコドリ
冬の鳥として渡ってきます。観察できる場所が局所的で、見る機会が少ないので三番瀬以外で見ることができたらラッキーです。雌と雄は同じ色をしています。くちばしと目が赤、足はピンクで羽色は白と黒。とてもおしゃれな鳥ですね。アサリなどのような二枚貝を固いくちばしでこじ開けて食べます。
三番瀬では、20年前にはごく少数しか渡来せず珍鳥にされていました。しかし次第に数が増え、ここ数年は300羽を超えるまでになりました。現在は三番瀬が国内最大の越冬地で、夏にも少数ですが観察できます。
②ミユビシギ
旅鳥または冬鳥として、ほぼ全国の海岸の砂浜、干潟、河口などに渡ってきます。雌と雄は同じ色をしていますが、このミユビシギ、夏と冬で羽の色が変わるんです。調べてみたら、ユリカモメ(電車じゃないですよ)も夏と冬では姿が違うみたいですね。夏の時の羽は夏羽といい、頭部から胸、上面が赤褐色で、黒褐色の斑点があります。
夏羽はトウネンと似ていますが、トウネンの方が小さく、胸に黒い斑点が入りにくいことで区別できます。冬羽はハマシギと似ていますが、ハマシギの方がくちばしが細長く、下に曲がっているところ、上面の灰色が濃いことで区別できます。この特徴からしてイラストのミユビシギは冬羽ですね。三番瀬では、秋から春まで観察することができ、冬には数十羽の群れを見ることもできますよ。
③イソガニ
石や漂着物の下などに隠れていることが多く、だいたい25㎜~30㎜くらいの大きさのカニです。やや水深が深いところ、堤防の中程より沖合で多く見られます。小さくてもはさまれるとやっぱり痛いです。
成体のオスのハサミがかみ合う部分には、プニプニとした肉の袋状の器官があります。色や模様はほとんど決まっていて、甲は濃い紫と緑のまだら模様、脚は同色のしま模様と黒点があります。時折フクロムシやイガイが寄生していることがあり、外部から確認できます。
④マメコブシガニ
春から夏にかけて、潮だまりや波打ち際を歩いている姿が見られるカニです。潮干狩りの際にとてもよく見る、あのカニです。肉食で、弱った貝やゴカイなどを食べます。イソガニの半分くらいの大きさしかないのにワイルドですね。
海水の中で逃がすと、後ろ向きに砂の中にもぐってかくれる姿を見ることができるので、見つけたらやってみてください(笑)
⑤ホンビノスガイ
北アメリカ原産の二枚貝、つまり外来種です。現地ではクラムチャウダーの材料として、ごく一般的に食べられています。白ハマグリという名でも知られていますが、ハマグリと違って殻に光沢はなく、分類も異なっています。アサリやマテガイに比べて、酸素が少ない環境でも生き抜くことが出来るとされています。
東京湾で最初に発見されたのは、約20年前と言われています。その誕生は、まあいろいろな説があります。どれも定かではありません。アサリなどの在来種とは生息域が異なり、湾内ですみ分けが出来ているみたいです。生態系への影響はなく、駆除等の必要もないそうです。
以前、このサークルでの活動の際にホンビノスガイをたくさんお裾分けしてもらったことがあります。アサリと同様に酒蒸しにしたり、バター醤油で食べたりと本当においしいです。スーパーとかに売っているらしいので、よかったら買ってみてください(笑)
ちなみにこのサークルは東邦祭で、地元の漁師さんから仕入れた大量のホンビノスガイを使用したお味噌汁を出品していました。アサリよりも身が大きく、とてもおいしいです。来年、東邦祭にいらっしゃる機会があったら、ぜひ食べてみてください。
3.干潟ってどんな環境?
干潟とは、おもに沿岸の海水と淡水が混ざり合う場所(汽水域といいます)にでき、潮が引いた時にあらわれる平らな地形です。日中に潮が引くと強い乾燥にさらされるなど過酷な環境ですが、うまく適応した生物によって豊かな生態系が成立しています。
干潟には様々な機能があります。そのうちのいくつかをご紹介します。
①生物の生息場所
上で紹介したように、干潟には貝やカニ、ゴカイをはじめ多くの生物が暮らしています。また、仔魚や稚魚として一定期間を干潟で過ごす魚や、渡り鳥が渡りの途中に寄る中継地点になったりもしています。
②環境浄化
干潟は、川から流れ込む水などに含まれる汚染の原因となる物質を取り除く「自然の浄化槽」としての役割を果たしています。その仕組みを簡単に描いたものが下の図です。右下の栄養塩をスタート地点として、それぞれ矢印の先の生物に食べられるという見方になっています。
川から窒素やリンなどの栄養塩が流れ込むと、それを吸収して植物プランクトンや干潟表面の藻類が増殖します(流れ込む栄養塩の量が多いと植物プランクトンが大量発生して赤潮などを引き起こします)。それらを懸濁物食者(水の中に含まれる有機物を濾しとって食べる生物)が食べ、それをさらに肉食性の貝類などが食べる、というように、食べる・食べられるの関係の中でもとの栄養塩が生物の間を移動していきます。そして最終的には鳥に食べられたり、人間に獲られたりすることで、環境中から除去されます。
③防災・減災
沿岸に広大な干潟があることで、洪水や高潮、津波の際に水を貯めて被害を抑えたり、陸地に届く波のエネルギーを減衰させることができます。
このように重要な様々な機能を兼ね備えた干潟ですが、開発に伴う埋め立てや、ダム建設による土砂供給の減少によって急激にその面積を減らしています。東京湾では明治時代後期から現在までに90%以上が失われたそうです。干潟がなくなれば、当然上で紹介したような機能も失われてしまいます。私たちは残された干潟をしっかりと守っていかなければなりません
4.おわりに
いかがでしたか?少しでも干潟に興味を持ったら、ぜひ実際に行ってみてください!
最後に少しだけTECの紹介をします。TECは「生態系や環境について楽しく実践的に学ぶ」をテーマに活動しています。現在は新型コロナウイルスの影響で実施できていませんが、活動内容としては野外(主に市内の河川や沿岸)でのフィールドワークや博物館・水族館見学、それらを含んだ合宿等があります。Twitterもやっているので、興味をもった学生や高校生の方はぜひ見てみてください!
参考
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/46/1/46_10/_pdf/-char/ja
・https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/45/10-11.html
・https://www.sambanze.jp/picture_book/
・https://www.city.funabashi.lg.jp/funabashistyle/jp/topics/p057225.html